体外部分がチューブ型のGB胃ろうバルーンカテーテルを使っていた入居者のAさん。食事の後にカテーテルが挿入されている穴(この胃ろうの「穴」そのものを「ろう孔」と呼びます)の脇から栄養剤が漏れてしまい、それが皮膚を刺激して赤くただれてしまうことに悩んでいました。
ろう孔の脇からの漏れは様々な原因が関与し、対策は簡単ではありません。Aさんにはまず健胃効果が期待出来る漢方薬、「六君子湯(リックンシトウ)」を服用してもらうことにしました。六君子湯は胃の動きを改善することが知られています。胃の動きが活発になれば、より短い時間で食べ物を腸に送れるようになるからです。
また、カテーテルが斜めになるとろう孔に無理な力がかかりチューブとの隙間が広がって、そこから漏れが発生している可能性もあったので、カテーテルの固定板とろう孔の間にYガーゼを挟み、なるべくろう孔部分のカテーテルが垂直になるように心がけました。
しばらくすると漏れの改善が見られましたが、なかなかカテーテルを垂直に保つのは難しく、チューブ型から全長のずっと短いボタン型に変えたらどうだろうという意見がでました。
体外部分の形は違っても体内部分は同じバルーンタイプなので、ボタン型に変更するのに特別な準備は必要ありません。通常のカテーテル交換のスケジュールに合わせて、チューブ型からボタン型のカテーテルに変更しました。より良い食器に替えてみた、というところです(食器を新しくしよう、カテーテル交換の話を参照)。
結果、ボタン型に変更してからAさんのろう孔からの漏れはピタリと止まり、皮膚も乾燥した状態が維持できるので皮膚炎も治りました。今日も快適な「胃ろうの食生活」を送られています。
ボタン型にすればろう孔漏れが必ず防げるというわけではありませんが、Aさんのようにうまくいく場合もあることを知っていただきたく紹介しました。胃ろうカテーテルはからだにやさしい、使い易い、その人に合ったものを交換のタイミングで選択していきましょう。